ピルで胸が大きくなるって本当?
バストアップのQ&A

ピルで胸が大きくなるって本当?

(2020.11.19 追記)

ピルを服用すると胸が大きくなると聞いたことはありませんか?

ピルと聞くと避妊薬というイメージがありますが、実際には、ピルを服用すると血中の女性ホルモンが増え、妊娠している状態に近づきます。このような働きが胸にも現われると、一時的に胸が大きくなったと感じるのです。

では、バストアップが目的でピルを服用しても良いのでしょうか?

今回はピルの働きやその危険性、ピルと胸の関係について説明していきます。

ピルとはどういうお薬?

ピルとはどういうお薬?
「ピル=避妊薬」というイメージが強いものですが、ピルの作用や種類など詳しいことは知らない方が多いようです。

ピルの正式名称は「経口避妊薬」といい、英語では「Oral Contraceptive」と書くため、頭文字をとって「OC」とも呼ばれています。

また、日本ではあまり普及が進んでいませんが、世界中で1億人以上の女性が、ピルを服用しているといわれています。なお、日本では婦人科などの医療機関を受診してピルを処方してもらいます。

ここからは、ピルの種類や成分について詳しくみていきましょう。

ピルの種類は、女性ホルモンの含有量の多い順から「高用量ピル」「中用量ピル」「低用量ピル」の3種類にわかれます。

高用量ピル

緊急避妊薬(アフターピル)と呼ばれています。避妊に失敗したときの緊急処置に使用され、高い確率で妊娠を防げます。
日本では市販されていませんが、欧米ではドラックストアでも買えます。

中用量ピル

主に、生理日を移動させたいときに使用します。そのほか、生理痛や生理不順など、婦人系のトラブルを軽減する薬として用いられています。

低用量ピル

主に、避妊に使われています。その他、婦人系のトラブルを軽減する薬としても用いられています。基本的に低用量ピルは、3週間飲んで1週間休むというパターンで服用していきます。低用量ピルは、女性ホルモンの含有量が少ないため、その効果が穏やかです。

バストアップに効果があるといわれているのは、この低用量ピルです。ただし、低用量ピルは胸を大きくするための薬ではありません。

さらに、低用量ピルについて詳しく説明しましょう。

低用量ピルは、女性ホルモンの含有量によって、さらに細かく種類がわかれます。例えば、エストロゲンの量が少ないタイプを「超低用量ピル」と呼びます。これは、月経困難症の治療に使用されます。

他にも、21錠タイプや28錠タイプなど、さまざまな服用方法があります。医師とよく相談して、自分に合うピルを決める必要があります。

ピルの主成分

ピルの主成分
ピルの主成分は「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つの女性ホルモンです。

エストロゲンには乳腺を増やす働きがあり、この乳腺を大きく育てる働きをしているのがプロゲステロンです。

つまり、ピルの服用で胸が大きくなるといわれるのは、これらの女性ホルモンが含まれているからなのです。

エストロゲンとは?
女性らしい体をつくり、妊娠しやすい状態にするホルモンです。エストロゲンには、肌や髪の新陳代謝を促し、血管や骨を強くする働きもあります。
プロゲステロンとは?
受精卵の着床を助け、妊娠を維持するホルモンです。プロゲステロンには、子宮内の血流を良くして、体温を上げる働きもあります。

ピルの効果とは

ピルを服用するメリットは、女性が自分の意志で避妊できるということです。ただし、避妊の目的だけでピルを服用するわけではありません。

ピルには、子宮内膜症などの病気が進行しないように予防する役割があります。つまり、将来の妊娠に備える薬でもあるのです。

そのような大切な役割があるピルには、具体的にどのような効果があるのでしょうか?

ここからは、避妊やそれ以外の効果について詳しく説明します。

避妊

避妊
ピルは避妊を目的に作られた薬ですが、どのような仕組みで体に作用するのか説明します。

女性の体では、エストロゲンとプロゲステロンが定期的に分泌されています。これらの女性ホルモンには、排卵を促し、子宮内膜を厚くするなど、妊娠や出産を助ける働きがあります。

では、ピルを服用するとどうなるのでしょうか?

まず、脳が排卵しないように命令を出します。すると、卵巣ではエストロゲンとプロゲステロンの生成が抑えられます。

排卵が起こらないだけではなく、子宮内膜に受精卵が着床しにくくなります。また、ピルには子宮頚管の粘膜に粘り気を持たせる作用もあり、精子が子宮へ入るのを防ぐのです。

このような作用で、ピルが妊娠を防いでくれるのです。

避妊以外で期待できるピルの効果

避妊以外で期待できるピルの効果
生理前に肌が荒れたり、生理中は頭や腰が痛くなったりと、女性の体は生理にまつわる不調が多いものです。これらのほとんどのケースは、女性ホルモンが関わっています。

ピルによって、女性ホルモンのバランスが整えば、さまざまな不調が改善できるかもしれません。

避妊以外のピルの効果とは?
生理痛の緩和、子宮内膜症の改善などです。その他、ピルの効果は以下になります。
・子宮体ガンのリスク軽減
・卵巣ガンのリスク軽減
・月経前症候群(PMS)の緩和
・ニキビや吹き出物の改善
・貧血の改善
・更年期障害の改善
・骨粗しょう症の予防
・不妊の予防
なぜ、ピルを服用すると生理痛が改善されるの?
子宮の収縮が抑えられるからです。ピルを服用すると、痛みをともなうほどの子宮の収縮が抑えられ、生理痛が和らぎます。

また、ピルによって卵巣を休ませることができるため、卵巣ガンなどの病気の予防にもつながります。

ピルで胸が大きくなるといわれるわけ

ピルで胸が大きくなるといわれるわけ
避妊や生理痛の緩和などの効果があるピルで、なぜ胸が大きくなるのか、その仕組みについて説明します。

ピルの主成分は、エストロゲンとプロゲステロンです。

エストロゲンには「肌や髪の新陳代謝を活発にする」「骨や血管を丈夫にする」「乳腺を発達させる」などの働きがあります。

プロゲステロンには「受精卵の着床を助ける」「子宮で赤ちゃんを育てるために体に水分や栄養をため込む」などの働きがあります。

これらの働きが、胸にも現われ、一時的ではあるものの、胸が張って大きくなったように感じるのです。これが、ピルでバストアップするといわれている理由です。

ただ、実際に「ピルで胸が大きくなった」という女性は1%程度と、ごくわずかです。また、その効果は一時的なもので、ピルの服用をやめると元に戻ってしまいます。

また、「ピルを飲むと太る」と言われていますが、これは昔の話です。確かに過去に使用していたピルは、ホルモンの含有量が多いことから太るといわれていましたが、現在の低用量ピルには太る心配はないといわれています。

ピルの服用の注意点

「ピルを服用すればバストアップするかも?」と思う女性も多いでしょう。また、「ピルはサプリメントのようなものだ」と簡単に考えている女性もいるかもしれません。

しかし、ピルはあくまでも薬です。ある程度効果はあったとしても、その反面、副作用も少なからずあるのです。そのため、医師にしっかりと相談してから服用するようにしましょう。

ここからは、ピルの副作用とリスクについて詳しく説明していきます。

ピルの副作用

ピルの副作用

ピルの副作用は、以下の通りいくつかあります。

  • 血栓症
  • 吐き気
  • 頭痛
  • 胸の張り
  • 不正出血
  • 倦怠感など

吐き気などの軽い副作用は、服用を始めて1~2カ月で現れるようです。ただ、症状が次第に落ち着いてくる場合もあります。

血栓症とは?
血管に血液のかたまりができて、血液の流れが悪くなる症状です。

その他にも、ピルを服用している間、一緒に服用できない薬やサプリメントがあります。ピルと併用したいときは、ピルを貰った医師や薬剤師に相談する必要があります。

注意が必要なサプリメント
  • プエラリア
  • 大豆イソフラボン

これらの成分には、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあります。ピルによってホルモンバランスを整えられたところに、さらにサプリメントでエストロゲンを増やしてしまうと、ホルモンバランスが崩れてしまいます。

また、「胸が大きくなる」と謳うようなサプリメントが販売されていますが、科学的な根拠がないため注意しましょう。

ピルを服用できない人

ピルを服用できない人
ピルは、比較的安全性や避妊効果が高い薬です。WHO(世界保健機関)でも、若い人に向けた避妊法として推奨しています。

ただ、ピルを服用できない人もいます。どんな人がピルを服用できないのか、確認しましょう。

ピルを服用できない人
  • ヘビースモーカー
  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 血栓症
  • 乳ガン
  • 子宮頸ガン
  • 肺塞栓症
  • 脳血管障害
  • 手術前後の人

ピルの主成分であるエストロゲンは、血液を固めやすくする性質があります。そのため、心筋梗塞など突然死のリスクを高めるのです。

高血圧など血管に病変がある人、糖尿病など持病のある人は、重大な副作用が現れる恐れがあります。

さらに、タバコを吸う人がピルを服用すると、静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などの副作用のリスクが高まることがわかっています。

このリスクは、タバコを吸えば吸うほど高まってしまいます。タバコを吸うすべての人が、ピルを服用できないというわけではありませんが、タバコは全身の健康にも悪影響です。

できるだけ、タバコを控えるようにしましょう。

胸の張りは病気の可能性も

胸の張りは病気の可能性も
ピルの作用による胸の張りなら問題ないかもしれませんが、なかには病気の可能性もあります。病気を見逃さないために、少しでも気になることがあれば、医療機関へ受診しましょう。

胸の張りや痛みが続く場合、以下の病気の可能性があります。

乳腺症
  • 乳腺に起こる病気の総称
  • 胸に張りや痛みが出る
  • 乳頭から分泌物が出る
  • 弾力のあるしこりができる
  • 生理にあわせて症状が強くなる
  • 30代から40代に多い
乳ガン
  • 乳腺にできるガン
  • かたいしこりができる
  • 生理に関係なく症状がある
  • 30代後半から40代後半に多い

胸のセルフチェックをすることで、病気ではないかある程度確認ができます。

胸のセルフチェック方法
  1. 腕を高く上げて、胸にくぼみがないか確認する
  2. 指を胸にあて、「の」の字を書くように動かし、しこりがないか確認する
  3. 乳首をつまみ、分泌物がないか確認する

安全に服用するために

安全に服用するために
ピルを安全に服用するためのポイントをご紹介します。

病院に受診する
病院に受診すれば、健康状態を把握したうえで処方してくれるので安心です。時間がない人は、オンライン診療を利用するのも良いでしょう。
インターネット上で、販売されているピルを購入しない
現在の日本では、医師の診察と処方箋がなければピルを入手できません。しかし、一部の通販サイトでは海外輸入という形で販売しているケースがあります。このようなピルは、偽物や粗悪品であることが多いので、購入しないでください。
飲み忘れない
ピルは、女性ホルモンを人工的にコントロールする薬です。毎日、決まった時間にピルを服用し、自己管理を徹底しましょう。
飲み合わせに注意する
「セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)」を含むサプリメントやハーブティーは、避妊効果を下げてしまいます。ピルと一緒に、ほかの薬やサプリメントを服用する場合は、必ず医師に相談してください。
診断された用途以外での服用はしない
「バストアップしたいから」という安易な考えで、ピルを服用するのは危険です。自己判断でピルを服用するのは、やめましょう。

まとめ

1.ピルは経口避妊薬と呼ばれている
2.ピルの主成分は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンである
3.ピルは避妊だけではなく、婦人系のトラブルにも用いられている
4.ピルには、吐き気、頭痛、胸の張り、不正出血、血栓症などの副作用のリスクがあり、服用できない人もいる
5.ピルを安全に服用するためには、必ず医師の診断と処方が必要である

「ピルの服用で胸が大きくなる」というのは、女性ホルモンが胸に作用するからです。通常、女性ホルモンは自分の力ではコントロールできませんが、ピルを服用すればそれができるようになります。

ただし、副作用があるため、バストアップのために用いるのは本来の使い方ではありません。

 

この記事の執筆者

佐藤 由加里
佐藤 由加里
バストアップ専門エステサロン「p-Grandi」チーフエステティシャン。マッサージ、医療脱毛・医療痩身・フェイシャル、総合痩身エステの施術などを習得したバストアップ専門家。プロフィール